DNA親子鑑定
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DNA親子鑑定とは
DNA親子鑑定(父性鑑定)とは、DNAを構成している塩基の配列パターン、いわゆる「DNA型」を調べることにより、「検査対象男性」と「子」との間に血縁的父子関係が存在するかどうかを科学的根拠に基づき分析する方法のことをいいます。
DNA(デオキシリボ核酸)は、人間の体を形づくる細胞すべてに存在し、親から子へ子から孫へと受け継がれます。子には生物学上の母と父から必ず1/2ずつDNAが受け継がれることから(突然変異部位を除く)、検査対象男性と子の間に生物学上の父子関係が存在していれば、検査した異なるすべてのDNAローカスにおいて、母から受け継がれたDNA型を除いた「子に観察された生物学上の父由来と考えられるDNA型」が検査対象男性に観察され、父子関係に矛盾する結果は全く得られないはずです。
対して、生物学上の父子関係が存在していなければ、検査した最低3ヶ所以上のDNAローカスにて、「子に観察された生物学上の父由来と考えられるDNA型」が、検査対象男性からは観察されないはずです。
こうして15-20ヶ所の異なるDNAローカスにてDNA型を分析し、人種別データベースに基づく各DNA型の出現頻度及び統計学的一致度合いを求め、父権肯定確率(検査対象男性が子の生物学上の父である確率)が算出されます。
父子関係肯定の場合、父権肯定確率は99.999%相当にて、否定の場合、0%(100%完全否定)にて算出されます。
また、突然変異が確認された場合や、父と疑わしい男性同士が近親者である場合でも、それらの可能性を十分に考慮された上で、99.0%以上または0%の父権肯定確率を保証しています。
「DNA型鑑定」と「血液型鑑定」
1980年半ばまでの長年の間、親子(父子)の血縁関係を立証する手段として「血液型鑑定」が主流となっていました。
1980年代になると、「DNA型鑑定」が技術的に可能となり、1990年代半ばには、日本でも裁判所で採用される鑑定手法の件数において、「血液型鑑定」に代わる手法となり現在に至っています。
「DNA型鑑定」と「血液型鑑定」を比較し、その違いをご案内いたします。
「血液型鑑定」では、一般に6種類の血液抗原システム(ABO型やRh型、Lewis型など)を検査し、生物学上の父でないと断定できる一般集団を排除していきます(父性の排除)。
仮に検査対象男性が生物学上の父であったとしても、血液型鑑定においては、1種類の血液抗原システムから排除できる一般集団は約15%程度に留まり、6種類すべてを検査したとしても約 73%の一般集団が排除されるに過ぎません。
要するに、約27%の一般集団に父である可能性が残されてしまいます。
よって、血液型鑑定からは生物学上の父である決定的な結論を得ることが出来ないのです。
(またごく稀ではありますが、突然変異の影響で、親から受け継がれた形跡の見受けられない血液型を子がもってしまうことも実際に発生しています。)
一方、「DNA型鑑定」は、1箇所のDNA型を検査することにより、平均で約85%の一般集団を父である可能性から排除することが可能で、3箇所以上必要を要するまでのDNA型を検査すれば99%以上の一般集団を排除でき、極めて高い確率にて父であることを推定できます。
当社ではDNA型の検査箇所を15〜20箇所程度とし、納得のいく鑑定精度が得られるまで追加検査を行います。
父性鑑定では、父である場合の父権肯定確率は99.999%相当、父でない場合は0%(100%完全否定)にて鑑定結果を算出しています。
現在のいかなる鑑定手法を用いても、「父でない」ことは100%否定できても、「父である」ことを100%肯定することは不可能です。
※「父権肯定に関するHummelの評価」が一般的に高い評価を得ていますが、それによると、父権肯定確率が99.8%以上である場合、擬父は生物学上の父と判定してよい(擬父以外の一般集団男性が子の父である可能性は現実的にあり得ない)とされています。
DNA鑑定に用いられるサンプル(試料)の種類
「口腔粘膜細胞(頬粘膜)」とその他のサンプル
近年、裁判所での調停・訴訟における血縁関係存否確認のための科学的証拠として、DNA鑑定が広く採用されるようになりました。
日本でも1990年代からDNA鑑定の有効性が認識されはじめ、今では数多くの裁判所が重要な参考資料としてDNA鑑定を取り入れており、当事者同士の問題解決の場でも科学的な証拠として利用されています。
検査に用いられるサンプル(試料)は、「口腔粘膜細胞」です。
1990年代半ばから口腔粘膜細胞でのDNA抽出が可能となり、今ではほとんどの検査機関で主たるサンプル種類として使用されています。
当社では、必ず被鑑定者ご本人からスタッフが専用綿棒で頬の内側の粘膜を採取します。
痛みもなく、傷も付きませんので、抵抗が少なく採取できます。
他の鑑定会社で「だ液を採取」と表現されることが多いですが、厳密にはサンプル種類の表記方法として「だ液」は不適切です。
だ液そのものには脱落した細胞と雑菌が混ざっています。
だ液を通気性のないビニール袋などに入れておくと、雑菌が繁殖して細胞内の核に存在するDNAを破壊してしまい、鑑定に必要な正常かつ十分な量のDNAが抽出できません。
よって、採取した綿棒を通気性のある紙の封筒に入れ、邪魔なだ液を自然乾燥させ雑菌を死滅させる必要があります。
そこに残ったものは、DNA抽出に最適な「口腔粘膜細胞」だけとなるのです。
他に有効なサンプル種類として「血液(白血球、リンパ球)」があります。
血液は、DNA鑑定が技術上可能となった80年代半ばから一般的なサンプルとして使用されてきました。
検査に必要な量は、約1ml程度と比較的少量で済み、正常かつ十分な量のDNAが確保できます。
しかし、採血は医療行為にあたり、3ヶ月以内に大量輸血を受けているとその血液提供者のDNA型パターンが混在する可能性があるので注意が必要です。
また、「毛髪」は簡単に採取可能で保存も容易であることから、DNA鑑定に使用するサンプルとして認識されていますが、毛髪の中間部および先端部ではDNAの抽出は極めて難しく、直接地肌から引き抜いた毛根部であれば抽出の可能性は残されますが、「口腔粘膜細胞」や「血液」と比べるとDNA抽出率は格段に低下します。
「毛髪」以外には「乾燥したへその緒」や「使用した歯ブラシ」、「タバコのフィルター」、「電気シェーバーの髭剃りかす」など、DNAの抽出の可能性が若干残されるサンプルもありますが、被鑑定者本人の試料として第三者に立証でき(サンプルの客観性)、DNA抽出率が極めて高いサンプルとしては不向きとなります。※
DNA鑑定に必要な正常かつ十分な量のDNAを抽出できれば、本人から採取したサンプルであれば全く同じDNA情報を得ることができますので、サンプルの種類の違いによって鑑定精度やDNA鑑定の結果に影響を及ぼすことは一切ありません。
※被鑑定者本人の承諾及び対面での同意がなく収集及び採取されたサンプル(試料)でDNA血縁鑑定を実施することは、倫理上の観点及び経産省の「DNA親子鑑定に関するガイドライン」に抵触する検査と判断し、当社では一切行っておりません。(法令に基づく措置を除く)
子の母(妻)の同意がないDNA父子鑑定の問題点
ご要望が多い「父と子」だけでのDNA親子鑑定(父子鑑定)
1998年の設立当初から当社にお寄せいただくお客様からのお問い合わせの中で最も多い内容が、
・子の父親からの、「妻に内緒でDNA父子鑑定を行いたい」
・子の祖母(子の母の姑)からの、「嫁に内緒で息子と孫のDNA父子鑑定を行いたい」
以上の異なる立場の方からのものとなります。
夫が妻に対して浮気の疑念を持ったり、姑が嫁に対して不信感を抱いていたりすると、妻には内緒で父子関係を調べて確認をして然るべき対策を取りたいとお考えの方が多くなります。
日本国内のDNA鑑定事情
それでは、そのような子の母に内緒でのDNA父子鑑定の実施は可能なのでしょうか?
日本国内には数多くのDNA鑑定会社が存在します。
実際、そのほとんどの鑑定会社が、正当な理由(死亡、所在不明、国内渡航困難、鑑定嘱託など)なく、子の母の同意を取らずに父と子だけのサンプル提供でDNA親子鑑定を受け付けています。
当社にお寄せいただく問い合わせ件数の多さからもその需要は非常に大きく、みすみすDNA鑑定のお申込みを逃したくないという企業方針があったり、そもそもの根本的な問題点を理解していないことによって受託しているものと思われます。
《当社では誠に申し訳ございませんが、正当な理由を除いて、原則、「子の母」の同意がないDNA父子鑑定はお受けしておりません。》
子の母の同意がないDNA父子鑑定(親子鑑定)の問題点
1 – 経済産業省個人遺伝情報保護ガイドラインに厳密には準拠しておりません。
「子や家族の福祉を重んじてDNA親子鑑定は行われるべきである」としており、補足事項で、子の母のサンプル提供が不可の場合は、その正当な理由を付すべきであるとしています。
鑑定会社によっては一部のサービスだけガイドラインに準拠していることによって会社全体の信頼性をアピールしている場合がありますのでご注意下さい。
2 – 裁判所の調停・訴訟などの事件解決のために鑑定嘱託によって使用されるDNA父子鑑定では、子の母のサンプル提供が必須となります。
(子が単独で申し立てができない14才未満の場合は、母が法定代理人となるためです。)
よって、子の母のサンプル提供がない個人で行ったDNA父子鑑定書は、サンプルの客観性が立証できる場合でも決定的な結果として採用されないことがあります。
鑑定会社によっては、父と子だけでのDNA父子鑑定であっても法的鑑定または裁判用鑑定としている場合がありますのでご注意下さい。
(ケースまたは裁判所の判断によって異なります。)
3 – 母に子の親権がある場合、母の同意なく無断でDAN父子鑑定を行うと、慰謝料や損害賠償の請求を起こされる可能性があります。
血縁関係の問題解決のために実施したDNA親子鑑定が、更なる大きな問題を引き起こしてしまう場合がありますので、子の母の同意がないDNA父子鑑定の実施には、十分にお気を付け下さい。
キットの郵送で私的鑑定を行ったり、法的鑑定・裁判用鑑定とうたいながら第三者機関に採用されず、再鑑定を実施する必要が生じた方たちの当社にお寄せいただいたご相談をもとに記述しております。DNA鑑定の結果は多くの関係者の将来に関わることですので、当事者すべての皆さまが十分にご納得されたDAN鑑定会社をご選定なされることを強く推奨いたします。
「郵送でのDNA鑑定」と「子の母の同意確認」
個人の方からのお問い合わせで比較的多いのが、「郵送で採取キットを送ってもらい鑑定できますか?」や、男性からの「妻に内緒で父子鑑定を行いたいのですが?」です。誠に残念ではありますが、当社ではそのいずれのご要望にも添いかねるものとなります。
国内でDNA鑑定を行うには経産省の「DNA親子鑑定に関するガイドライン」によれば、「鑑定スタッフによるDNA鑑定実施に対する対面での同意が必要」であることと、「個人や家族の福祉を重んじてのDNA鑑定の実施に努める」ことが求められます。
要するに、被鑑定者ご本人と対面での同意が得られない郵送でのDNA鑑定は行ってはならず、想定される父母の双方がDNA鑑定に同意し父・子以外にも母方からサンプル(試料)の提供を受けるよう努めることが重要である、ということです。
これらいくつもの項目をクリアした鑑定会社でないと、個人遺伝情報取扱審査基準を満たさず、審査委員会からの事業認定が得られません。
しかし、それらを守らないとしても、行政指導の対象となる可能性があるにせよ罰則規定がないことにより、採取キットを郵送してDNA鑑定を受け付けたり、弁護士などのご依頼以外で母に内緒で父子鑑定を行ってしまう鑑定会社が数多く存在します。(もちろん誠実に行っている鑑定会社も多く存在します。)
当社も民間企業でありますので、お客様からお問い合わせいただき、皆さまからのご要望が非常に多いそれらの鑑定をお受け出来ないことは、営利機会の損失であり苦渋の判断であります。
実際に、本人確認が不十分な郵送での鑑定を他の鑑定会社で行ったお客様から、鑑定精度や鑑定書記載氏名の信憑性、説明の不備に対する不信感を抱き、セカンドオピニオンを希望しお問い合わせをいただくことがしばしばございます。
また、子の母が鑑定に参加せず父子鑑定を行い裁判所に提出したところ不受理となり、再鑑定を当社で実施したケースも少なくありません。
「法的鑑定」とうたいながら、裁判所や大使館・入国管理局のDNA鑑定を受理する側の立場に立った「求められる鑑定書」の手順や内容を踏まえていないことが原因です。
DNA鑑定を興味本位で行う方はいらっしゃいません。
「DNA親子鑑定」は、真実を真正面から受け止め、そこからご自身が抱える問題を適切に解決なさるための手段です。
当社の社名である「ソリューション(Solution)- 問題の解決」にその信念を込め、これからも当社をお選びいただいたお客様の問題の解決のために少しでもお役に立てるよう努めて参ります。
